ニュース記事概要
高齢化の進展で認知症患者が保有する金融資産が増え続けている。2030年度には今の1.5倍の215兆円に達し、家計金融資産全体の1割を突破しそうだ。認知症になると資産活用の意思表示が難しくなり、お金が社会に回りにくくなる。国内総生産(GDP)の4割に相当するマネーが凍結状態になれば、日本経済の重荷になりかねない。お金の凍結を防ぐ知恵を官民で結集する必要がある。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34605990V20C18A8MM8000/
65歳以上の認知症患者数は15年に推計で約520万人。(3年間で約50万人増)
30年には最大830万人に増え、総人口の7%を占めると予測される。
(1)相反する2つ以上の意見
日本の家計金融資産は30年度時点で2070兆円と推計される。認知症高齢者の保有割合は17年度の7.8%から10.4%に高まる。政府や金融機関はこうした資産が使われなくなることに危機感を強めている。
第一生命経済研の星野卓也氏
「投資で得た収益が消費に回るといった循環がたちきられ、GDPの下押し圧力になる可能性がある」
みずほ総合研究所
認知症高齢者が持つ株式などの有価証券が、35年に全体の15%に達すると推計する。高田創調査本部長は「株式の生前贈与を促す税制の創設など、生きた形で若年層に金融資産をシフトさせる方策が必要となるだろう」と指摘する。
認知症になる前に本人と家族で資産活用についてあらかじめ定めを結ぶ「家族信託」という仕組みはある。だが本人も家族も認知症になることを前提に話し合うことには抵抗があり、利用率は低い。
(2)仮説
・認知症になる人:自分が認知症になると思っていないので準備をしない。
準備をしようと思っても、近くに後見人となる人物がいない。
・認知症の家族:認知症の家族のために預金を引き出したい。
・金融機関:利用者が認知症だとしても預金引き出しには「本人の意思」がないとできない。
・日本政府:資産が有効活用されず、日本経済が回らなくなることを危惧している。
金融機関の「家族による横領を防ぐため」の処置によって、
本人に必要なことに対しても資産が塩漬けになっていることが問題と感じる。
目指すゴール:認知症の人の生活のために、他者(家族を含む)が認知症の人のお金を使えるようにすること。