<読んだ本>
話術
著:徳川 夢声、出版社:新潮文庫
<筆者の言いたいこと(200文字以内)>
ハナシは誰でもできる。
だれでもできるから、研究しない。
だれでもできるから、
普通一般より感心されるほど、
上手にハナシをすることは難しい。
漫談の本職と素人は何が違うのか?
→それによって生計を立てているか否か。
ハナシは人格の標識。
ゆえに、他人から好意を持たれる人格を養うべし。
あえて聖人たれとは申さず。
ハナシには個性が絶対必要なり。
ハナシは言葉の建築である。
<今後に生かす(100文字以内)>
「マ(間)」を外さずに「なるほど」
「ああそうか」
「まさか」と相槌を打つ。
要所要所で、「面白いな!」
「これからどうなるんだろう?」
「そりゃその通りだ!」
というような感情を眼に込めて相手を見る。
<その他 気になった言葉>
・学問とは、真理を学ぶこと、
そして真理を学び得たときには、
必ず喜びが伴うものです。
糞真面目に理解させたのでは、
単に学問を叩き込んだに過ぎません。
・先生や、童話家の聞かせた物語は、
その少年が死ぬまで影響力を持ち続け、
大きくいえば幸不幸を左右するのであります。
極論をすれば、もしも日本に
「桃太郎」という童話がなかったとしたら、
太平洋戦争は起っていなかったかもしれません。
私はなにも「桃太郎」物語そのものが、
万更価値のない童話だというのではありません。
また「桃太郎」君が太平洋戦争の犯罪人だと
申してるわけでもありません。
ただ、童話というものの有する、
おそるべき潜勢力を、
皆さんに認識して頂きたいのであります。
・私は、少年の頃「桃太郎」の
映画化されたのを見物して、
鬼が気の毒でならなかった記憶があります。
・この死の直前における、
諸臣罵倒侮辱の件は、ある意味では大話術である。
家来どもを交々枕元に呼んで、
セガレのことは何分頼むと、
千言万語を費やすよりは、
片端から怒鳴りつけ、叱り飛ばし、
毒舌のあらん限りをつくして、
「早くこんなオヤジくたばれば好い。
とてもこれではやりきれん。
一日も早く、息子の代になってもらいたい。」
と思わせた方が、はるかに効果的で、
セガレのためになるわけ。
・「犬が紳士に喰いついた
これはニュースにならない。
紳士が犬に噛みついた
これは立派なニュースである。」