(仮)エンジニアぽろぽろ(2)

2012年5月 新卒採用の最終面接を受けていた。

その日は酷い雨で、企業側から面接を受けに来ることができるか

わざわざ確認の電話が来るほどだった。

最初にペリグリンテストというひたすら単純計算さられる

テストを受け、その後、面接となった。

面接官は技術2人、人事2人だった。

簡単な質問と、大学での研究内容などを質問されたあと

「会社に入って何がやりたいか」と問われた。

「産業用ロボットの性能を上げ、日本の工場のロボット化をさらに進めることに
よって日本の産業の空洞化を止めることです。

今、日本はコスト削減のために海外に生産がシフトし

日本国内ではモノを作らなくなっています。

その結果、日本には製品製造の技術が残りづらくなっています。

これを解決するためには海外の製造コストに負けない

工場をつくらなくてはなりません。」と述べた。

当時の私は日本のメーカはまだ技術力があり、戦えると希望を持っていた。

この言葉に対して現実の2020年現在はどうなったか。

日本よりも中国の工場が急速にロボット化した。

中国経済が発展した為に人件費が高騰し、

中国の工場経営者たちは日本の高価な産業用ロボットを購入して

解決しようとした。今は自前のロボットで解決しようとしている。

私自身は、2019年5月まで国内製鉄工場の自動化に従事した。

自社工場で製品を作らないために技術が無くなっていることを肌身で感じた。

モータはモノを移動させるという自動化の要になる技術だ。

しかし、重要なはずのモータはコストばっかりかかって儲からない製品だ。

当然そういう製品は海外へ外注化する。自社の工場からなくなるのだ。

そうなるとその製品について五感で理解することが無くなる。

紙の上での理解だとどうしても限界がある。

その技術について本当に理解している人が社内にいない状態だった。

納品されている製鉄会社の製品を見て、

実際にどう使われているのかを理解するという逆転現象が起きていた。

一方で完全に製造を外注化することで成功している企業もある。

アップルである。iPhoneの部品製造、組み立てを外注し

自社では工場を持っていない。

これはソフトウェアとブランドイメージで勝負すると

決めているからできる戦略だ。

ハードウェアで勝負している日本メーカが同じことをすれば、

あっという間に空っぽになってしまう。

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