<概要>
広島県呉市にある製鉄所が2023年9月に全設備停止する。
再稼働はせず、関連会社を含めて3000人規模の工場休止・閉鎖 となる。
また、製鉄所と取引をしていた広島県内の中小企業117社は打撃を受ける。
呉市は 映画「この世界の片隅に」の舞台であり観光面では
追い風が吹いているが、これまで地域経済を支えてきた
重厚長大産業の縮小を補うのは難しい。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55406180X00C20A2LC0000/
<なぜ製鉄所を閉鎖するのか>
鉄が不足する世界から、余る世界に変わったから。
日本は世界第3位で世界シェア6.2% 9928万トン 生産している。
一方、世界第1位の中国は53%の 9億9634万トン生産する。
中国は自国生産で余った鉄を安値で東南アジアなどに輸出し、
日本や韓国の製鉄メーカはそのあおりを受けている。
その量は約1億トン。
日本の年間粗鋼量と同量が、中国から溢れ出ていることになる。
下図を見ると2000年以降、中国が狂ったように生産しているのがわかる。
鉄はいつも不足しているモノだったが、余るようになってしまった。
<製鉄所が閉鎖することは生活にどう影響するのか?>
製鉄所で働く人だけでなく、その周りで働く人、地域に影響を与える。
人が集まれば、弁当も要るし、作業着や工具、大きな機械もいる。
そういうものを製鉄所に提供して生活が立ち行かなくなり、
地域経済に悪影響を与える。
また、鉄は全ての工業製品の源流なので、
これが止まると日本の製造業全体に影響があるのではないか。
高炉という鉄を生み出す装置を止めると、
もう一度稼働させることは容易ではない。
仮に日本の電気自動車が世界でヒットし、
増産するために鉄がたくさん欲しいと言っても
日本にはその能力がないということになる。
<鉄鋼業の付加価値はどれくらいか?>
約4倍の付加価値を付けていた。
鉄の原材料1兆円に対して、4兆円の粗鋼輸出額となっていた。
参考文献
https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/kaseguchikara/pdf/010_s03_02_03_01.pdf