【ニュース#142】<概要>日本製鉄、呉製鉄所閉鎖へ 地域経済・雇用に打撃

<概要>

広島県呉市にある製鉄所が2023年9月に全設備停止する。

再稼働はせず、関連会社を含めて3000人規模の工場休止・閉鎖 となる。

また、製鉄所と取引をしていた広島県内の中小企業117社は打撃を受ける。

呉市は 映画「この世界の片隅に」の舞台であり観光面では

追い風が吹いているが、これまで地域経済を支えてきた

重厚長大産業の縮小を補うのは難しい。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55406180X00C20A2LC0000/

<なぜ製鉄所を閉鎖するのか>

鉄が不足する世界から、余る世界に変わったから。

日本は世界第3位で世界シェア6.2% 9928万トン 生産している。

一方、世界第1位の中国は53%の 9億9634万トン生産する。

中国は自国生産で余った鉄を安値で東南アジアなどに輸出し、

日本や韓国の製鉄メーカはそのあおりを受けている。

その量は約1億トン。

日本の年間粗鋼量と同量が、中国から溢れ出ていることになる。

下図を見ると2000年以降、中国が狂ったように生産しているのがわかる。

鉄はいつも不足しているモノだったが、余るようになってしまった。

下記リンクより
https://honkawa2.sakura.ne.jp/5500.html

<製鉄所が閉鎖することは生活にどう影響するのか?>

製鉄所で働く人だけでなく、その周りで働く人、地域に影響を与える。

人が集まれば、弁当も要るし、作業着や工具、大きな機械もいる。

そういうものを製鉄所に提供して生活が立ち行かなくなり、

地域経済に悪影響を与える。

また、鉄は全ての工業製品の源流なので、

これが止まると日本の製造業全体に影響があるのではないか。

高炉という鉄を生み出す装置を止めると、

もう一度稼働させることは容易ではない。

仮に日本の電気自動車が世界でヒットし、

増産するために鉄がたくさん欲しいと言っても

日本にはその能力がないということになる。

<鉄鋼業の付加価値はどれくらいか?>

約4倍の付加価値を付けていた。

鉄の原材料1兆円に対して、4兆円の粗鋼輸出額となっていた。

参考文献

https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/kaseguchikara/pdf/010_s03_02_03_01.pdf

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