2010年2月 大学構内のガレージでツナギを着て鉄パイプを削っていた。
パソコン上で設計したクルマの骨格(図.1)を実際の形にする作業だ。
パソコンでパイプの展開図を紙に印刷し、
それを鉄パイプに巻き付けて、その通りにパイプの口を削る。
これらを組み合わせて溶接しクルマの骨格を作っていた。
とにかく早く製作し、走らせて故障、欠陥を炙り出す。
クルマを動かす審査で得点ができれば
52位→25位くらいまではステップアップできるという目算だった。
クルマ製作はパーツ毎に担当が分かれている。
フレーム班、サスペンション班、パワートレイン班、吸気・排気班、
カウル班、燃料タンク班。
全パーツが組み合わさらないとクルマは完成しない。
クルマの骨格の設計・製作を完了させ、他のパーツ班の作業スピードを
煽るという作戦をとった。
3月5日 溶接が完了し、クルマの骨格が完成した。
去年入ってきた1年生が立ち上げてきており、
溶接作業を任せられるレベルに成長していた。
自分の仕事を楽にするためには、人に技術を教えて、
仕事を作って任せてやるのが重要だなと感じた。
同期と二人作業だったならここまで早く製作できなかったと思う。
そして、クルマの骨格に各パートのパーツを取り付ける作業に入っていった。
完成間近の2010年3月11日 15時頃 東日本大震災が起こった。
大学構内のガレージで作業していた私は、
揺れる地面によって、掛けてある時計が外れ、立てかけてあるものは倒れ
通常なら収まる時間になってもまだ揺れていることが異常だと感じた。
揺れが収まってもしばらく自分の中で揺れが収まらず、
船酔いみたいになっていた。