タイトル:沈黙する知性
著者:内田 樹 、平川克美
出版:夜間飛行
<著者の言いたいこと(200文字以内)>
本来は多元的であるはずの人間の価値が、
なんとなく収入と外見と地位だけに単純化されてしまっている。
今ここにないけれど、「わずかの入力の違いでありえたこと」と「天地がひっくり返っても絶対に起こりえないこと」を同じように「アンリアル」だとひとくくりにして、「現実じゃないんだから、それについて考える必要がない」と思っている人間は「リアル」ということについての理解が浅すぎる。
<今後に活かす(100文字以内)>
自分の実存を賭して、自分の言葉で語ることが重要
戦争責任は誰が取るべきだったのでではなく、国家という幻想共同体が、どのように個人に作用して、誤りへと導かれていくのかという視点を持ちたい。
<その他>
・飢餓ベースで人間の身体は設計されているし、
「貧困ベース」で共同体は設計されている
・「効率化こそ目指すべきもの」とか言い始めたと同時に、
その「なんとなく守りたいと思ってきたもの」を
一気に非生産的という言葉で壊してしまった。
・極限的な状態において、人間がどれくらい卑劣にふるまうか、
あるいはどれくらい勇敢にふるまうか
・「大人になる」ためには、自分が大事だと思っていたものを
捨てなければならないからね
・「自分らしさ」を貫徹するということは、逆に言えば、
変化する機会、成熟する機会を逸し続けるということ
・でもさ、いくら高い給料をもらっていても、
会社がつぶれたら終わりじゃない。
そんなあやふやなものに自分の価値を
担保してもらおうというのが間違っているよ
・言葉遣いやリアクションには、その人が人生で積んできた
経験とか知性とかを伝える情報がものすごくたくさん含まれている。
・最大の理由は採用する側に「人を見る眼がない」
ということに尽きると思うんだ。
ほんとは面接試験なんて5秒で終わるんだよ。
「はい、採用!」「はい、また来てね」って
・日常的な道具を使って日々のどうということのない
労働をしている人間をものすごく魅力的に描けるということ。
これが世界作家に共通する才能だと思うんだよね。
・被害を最小限度に食い止めるためには何をすればいいのか?
最終的に守るべきものは何か?
・感情ってのは、ロボットにとってはほとんど誤動作に過ぎないからね。
・それを今は簡単に否定して、「成果主義だ」と
言いだしているんだけれど、彼らは年功序列や、終身雇用
といった非合理的なシステムが日本になぜ根づいたのかという
問題とほんとうに向き合ってきたのだろうかと思ったね。