【読書#97】独ソ戦

タイトル:独ソ戦  絶滅戦争の惨禍

著者:大木 毅

出版:岩波新書

<著者の言いたいこと(200文字以内)>

ドイツが行った対ソ戦争は、講和によって有利な条件を引き出し、

終結する政治的な戦争ではなかった。

人類(ゲルマン民族)とネアンデルタール人(スラブ人)のような区別をし、

力で優劣を決定することで敵の命と富を全て収奪する絶滅戦争だった。

ナチ体制は「ドイツ人は人種的に優秀である」というフィクションを使って、

国内の差別や対立の問題を解決した。

また、戦争による占領国からの収奪により、ドイツ国民は潤っていた。

<今後に活かす(100文字以内)>

ソ連軍は戦略と戦術をつなげる「作戦(戦役)」を

上手くコンボにつなげることで、ドイツ軍よりも優位に立った。

小さい勝ちをただ積み上げるだけでなく、

作戦(戦役)により大きな成果を仕事で上げられないか考える。

<その他(気になった言葉)>

一九三九年の時点で、日本の総人口は約七一三八万人であった。

ここから動員された戦闘員のうち、二一〇万ないし二三〇万名が

死亡している。さらに、非戦闘員の死者は五五万ないし八〇万人

と推計されている。

・ソ連は一九三九年の段階で、一億八八七九万三〇〇〇人の人口を

有していたが、第二次世界大戦で戦闘員八六六万八〇〇〇ないし

一一四〇万名を失ったという。

軍事行動やジェノサイドによる民間人の死者は

四五〇万ないし一〇〇〇万人、ほかに疫病や飢餓により、

八〇〇万から九〇〇万人の民間人が死亡した。

・ドイツ軍は、戦車や航空機のために新しいドクトリンを開発したのではなく、

時代に先んじた用兵思想に、それら、新時代の装備を組み込んだ。

・クラウゼヴィッツの後裔たちは、対ソ戦の遂行において、

敵の重心は何であるかを考えなかった、

あるいは、それはモスクワにちがいないと、確証もなしに信じ込んだのである。

・戦争の本質が、敵に自らの意志を強要することである以上、

敵戦闘力を完全撃滅し、無力化する「絶対戦争」を追求するべきだと考えた。

けれども、現実には、さまざまな障害や彼のいう「摩擦」、また、

政治の必要性などによって、戦争本来の性質が緩和されるために、

絶対戦争が実行されることは例外でしかないとみなすようになったとされる。

だが、ヒトラーは、まさにその例外を実現しようとしていた。

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