「地球環境を守る」という正義のため、世界は
ガソリンエンジン車から電気自動車(EV)へ変化しようとしている。
私は大学4年間で機械工学というエンジンを作る学問を勉強した。
エンジンは以下の4つのことが理解できれば作ることができる。
1. ガソリンを爆発させる箱はどんな材料で、どんな形にすれば
壊れないのか?:材料力学
2. ガソリンを爆発させるため、空気をどのように入れるか?:流体力学
3. ガソリンの爆発による熱はどれだけの力を生み出すか?:熱力学
4. ガソリンの爆発を車を動かす力に変えるにはどうすれば良いか?:機械力学
各自動車メーカはこの4つの問いに対して、
長年の実験結果から独自の解答を導き出してエンジンを作っている。
これが電気自動車に置き換わったとき、
既存の自動車会社のアドバンテージがなくなる。
電気自動車はモータで動くので、エンジン製造のノウハウは無用になるからだ。
また、エンジンを設計・生産してたエンジニアは無用となり、
その工場も、そこに関わっていた製造員たちも無用となる。
エンジンを作る技術は衰退するのではと予想している。
このとき既存の自動車メーカは存在意義を問われる。
エンジンを作るという付加価値が消滅したときどうなるのか?
クルマをどう賢く動かすのかに付加価値がシフトする。
この価値の源泉はクルマの周りを感知する「目」センサーと
その情報から賢いアクションを判断する「頭」プログラムを作ることだ。
昨年、私は転職し今は「目」となるセンサーを作っている。
大学で学んだ機械工学、前職で学んだ電気の知識を
一旦リセットして仕事をしている。
一旦リセットしないと頭の中に新しい知識・考えが入ってこないからだ。
変化の激しい世の中で、苦労して身に着けた知識・考えを
一旦リセットする勇気が必要なのではないかと感じる。