ニュース記事概要
日本のトップ校である東京大学は、アメリカの大学院留学のための予備校になっている。
優秀な先生が良い推薦状を書いてくれて、アメリカへ渡ることができる。
やがて日本に帰国する人もいますが、最も優秀な研究者はアメリカや諸外国に残っている。
博士号を持つような高度な知識を誇る人材が、ただ海外の大学に流出するだけでなく、GAFAのような企業にも狙われるようになってきている。
https://toyokeizai.net/articles/-/237920
Google、Apple、Facebook、Amazon――GAFA。
(1)相反する2つ以上の意見
東京大学先端科学技術研究センター助教 佐藤 信
研究者自身も、大学にいるよりも、グーグルやアマゾンの大量のデータを使えて、いい研究ができて、さらに高収入が望めるなら、そちらにいるほうがいい。母国の大学に残って研究する意義が今後ますます小さくなっていくかもしれません。
これまでは国家の中核である省庁が社会の舵取りを担ってきた、ないし担っているという幻想があったわけですが、今後はGAFAなどプラットフォーム企業に入るほうが社会にインパクトを与える大きな仕事ができるかもしれない、そう考えるわけです。
いまや大量の個人情報を集めるプラットフォーム企業のほうが、個人が求めているものを国家よりもよく知っている。そして、パーソナライゼーションを通じて、個人個人の生活にとって行政サービスより重要なサービスを提供している。国家の存在意義とはなんだろう、ということにもなりかねません。
東南アジアからの労働者についても「日本だったら当然来てくれるんでしょ?」という程度にしか考えていない。実際には日本での労働環境が劣悪なために、比較的単純労働に近い労働力でさえ十分に確保するのが難しい現実があります。
いま国も産学連携を押し出してはいますが、予算が削られ続ける日本の大学の現場では往々にして「民間に役立つことをやって、お金をもらって研究しなさい」という意味合いに聞こえます。それではどんどん小さくなるばかりですよ。むしろ大学に余裕を与えて、企業にはないアイデアをつくらせる、素地をつくらせるくらいの発想の転換をしないと、とてもGAFAなど海外勢に対抗できそうにない。
(2)仮説(450文字以内)
・インターネットとスマートフォンの登場し、国家よりGAFAの方が有効なデータを収集できるようになった。
・国の政策よりもGAFAのサービスの方が、国民にインパクトを与えることが多くなった。
・日本の研究機関や企業よりもGAFAの方が良い仕事ができる環境にあるので、
能力のある人材は流出している。
→母国に留まらず、条件の良い国、企業へ移る。
・国家 vs GAFA(グローバル企業)による人材獲得競争になっている。
→国家という枠組み自体が時代遅れになりつつあるのではないか。