講義で自分の仕事について話しをしました。
質問を受け、自分でも知らなかったなと思い、
調べたことを追記してみます。
<Q1.半導体のトップ企業はどこか?>
→2018年度の売上高は下記の通り
1位:サムスン電子(韓国) 758億5400万$
2位:インテル(米) 658億6200万$
3位:SK ハイニックス(韓国) 364億3300万$
半導体で一番数が出て、売上高に効いてきているのが
記憶(メモリー)を司る半導体。上記3企業はこれで儲けている。
<Q.2 日本の半導体のトップ企業はどこか?>
→同様に売上高で比較すると2018年度は下記の通り。
1位:東芝メモリ 105億8800万$
半導体の用途:メモリ
2位:ルネサス エレクトロニクス 67億700万$
半導体の用途:マイクロコントローラ、アナログIC
3位: ソニーセミコンダクタソリューションズ 66億1300万$
半導体の用途:画像センサー
4位:ローム 30億1600万$
半導体の用途:パワー半導体
5位:東芝 28億5200万$
半導体の用途:メモリ
6位:日亜化学 21億5000万$
半導体の用途:LED
日本の半導体企業は用途ですみ分けをしている。
画像センサー:スマホ、一眼レフカメラなど
パワー半導体:電気自動車、新幹線、エアコンなど
LED:照明など
<Q.3 日韓の輸出制限でどんな影響が韓国にでるか?>
→日本から半導体製造に必要な材料が来なくなる。
半導体が作れなくなる。サムスンが困る。
サムスンに依存している韓国が困る。
(材料1)レジスト:91.9%を日本から輸入
レジストって何?:感光材。光が当たると感光する。
フィルムの写真にも使わる。
目に見えないほどの半導体の回路図を
写真と同じ要領で半導体にコピーしている。
何が困るのか?:これがないと半導体の回路図が描けない。
供給する日本企業:信越化学工業など
(材料2)フッ化水素:43.4%を日本から輸入
フッ化水素がないと何が困るのか:
レジストを使って描いた半導体の回路図
に沿って、シリコンを削って実際の回路にする。
これをエッチングと言う。物理的に削るのではなく、
シリコンとフッ化水素を化学反応させて削る。
フッ化水素がないと半導体の回路が作れなくなる。
供給する日本企業:森田化学など
2019年7月時点で99.999%以上の超高純度の
エッチングガス(フッ化水素)は日本企業のみが製造出来る。
<Q4. 逆に他の国から日本が輸出規制を受けたらどうなるか?>
たとえば中国から輸出規制をかけられたら、
半導体の原材料のシリコンが入って来なくなり、
半導体生産ができなくなる。
中国は世界のシリコンの65%を作っている。
理由は電気代が安いから。
還元反応によってシリコンは作られるが
大量の電気が必要となる。
電気代の高い日本では生産されず、輸入している。
<Q1.1 何でメモリーにニーズがあるのか?>
→PCやスマートフォンの性能を上げるために
記憶量の増量にニーズがある。
写真、動画、本、音楽の保存に使われる。
たとえばiPhoneを購入しようとしたら容量(メモリー)を選ぶことになる。
32GB、64GB、128GB、256GB、512GB
昔のiPhone 5sは16GB、32GB、64GBしかなかった。
メモリがインフレしていることがわかる。
人間が暗記することは、半導体メモリーにとって代わられている。
<Q2.1 何で日本の半導体企業は用途ですみ分けをしているのか?>
→2012年に日本代表で作った会社エルピーダメモリが倒産したからではないか。
世界のメインは半導体メモリーだったが勝つことができなかった。
今はそれぞれ用途を分けて、その分野で生き残ろうとしている。
参考URL
2018年の半導体企業ランキング – トップ10からついに日本企業が消滅
https://news.mynavi.jp/article/20190118-758553/
2018年の日本半導体企業ランキングトップ10 – IHS調べ
https://news.mynavi.jp/article/20190315-789167/
半導体供給網に見直し懸念 日本の存在感低下も
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47322310S9A710C1EA4000/?n_cid=DSREA001
参考文献
半導体工場のすべて 著者:菊池正典 出版:ダイヤモンド社