【仕事#9】概要_半導体の利益構造

半導体は先端技術産業であるとともに、装置産業でもある。

たとえば、月2万枚の製造で3000億円を投資すると

図.1のような原価のイメージになる。

費用項目主な内容・具体例
減価償却費
(設備費等)
耐用年数5年の定率法で会計処理を行う。
100億円の設備ならば、1年目は50億円、2年目は25億円…
と償却する。
材料費原材料・素材の費用
直接材料費:シリコンウエハ…
間接材料費:フォトマスク、フォトレジスト、薬液、ガス…
労務費人件費
直接労務費:製造部門
間接労務費:間接部門
経費電力費、設備修理費、外注費…

減価償却費が大きな比重をしめていることから、

設備費等が原価に大きくのしかかっている。

シリコンウエハー1枚からは半導体が250個採れるとすると、

月2万枚だと年間6000万個つくることができる。

年間総製造費から半導体の年間製造数で割ると

半導体1個の原価になる。

1年目:2,430円

3年目:880円

5年目:480円

これに配線を付ける組立工程が入るため

1.3倍程度が原価になる。

大雑把なイメージとして1枚2,000円程度(5年間全体)でないと

利益がでない。

<利益を増やすためには>

前提条件

①生産する半導体の種類が100種類以上ある。

②種類によっては計画外の増産が起こり、対応しなければならない。

③半導体を作る工程は大きく7種類あり、

 この組み合わせと繰り返しで出来ている。

 また工程それぞれにレシピがあり、数100種類ある。

(1)装置数を増やし、増産する。

→装置が高価であり、減価償却費もネックとなる。

(2)今ある設備数で増産する。

→装置の汎用化:例えば、同一工程において

        装置Aでしか処理できなかったことを

        装置Bでもできるようにする。

        装置A,Bで処理できるので、2倍となる。

→装置の処理条件を見直す。

 例えば、今まで10分かかっていた処理が

 5分で同等の結果が得られれば2倍生産できることになる。

→装置の故障を減らす。装置の故障を伸ばす。

 例)耐久性の良い素材を採用し、装置のパーツとして使用する。

(3)シリコンウエハの搬送を見直す

→シリコンウエハが装置に到着するまでの時間が短縮されれば

 装置の待ち時間が減り、増産となる。

参考文献:半導体工場のすべて 著者:菊池正典 出版:ダイヤモンド社

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