半導体は先端技術産業であるとともに、装置産業でもある。
たとえば、月2万枚の製造で3000億円を投資すると
図.1のような原価のイメージになる。
費用項目 | 主な内容・具体例 |
減価償却費 (設備費等) | 耐用年数5年の定率法で会計処理を行う。 100億円の設備ならば、1年目は50億円、2年目は25億円… と償却する。 |
材料費 | 原材料・素材の費用 直接材料費:シリコンウエハ… 間接材料費:フォトマスク、フォトレジスト、薬液、ガス… |
労務費 | 人件費 直接労務費:製造部門 間接労務費:間接部門 |
経費 | 電力費、設備修理費、外注費… |
減価償却費が大きな比重をしめていることから、
設備費等が原価に大きくのしかかっている。
シリコンウエハー1枚からは半導体が250個採れるとすると、
月2万枚だと年間6000万個つくることができる。
年間総製造費から半導体の年間製造数で割ると
半導体1個の原価になる。
1年目:2,430円
3年目:880円
5年目:480円
これに配線を付ける組立工程が入るため
1.3倍程度が原価になる。
大雑把なイメージとして1枚2,000円程度(5年間全体)でないと
利益がでない。
<利益を増やすためには>
前提条件
①生産する半導体の種類が100種類以上ある。
②種類によっては計画外の増産が起こり、対応しなければならない。
③半導体を作る工程は大きく7種類あり、
この組み合わせと繰り返しで出来ている。
また工程それぞれにレシピがあり、数100種類ある。
(1)装置数を増やし、増産する。
→装置が高価であり、減価償却費もネックとなる。
(2)今ある設備数で増産する。
→装置の汎用化:例えば、同一工程において
装置Aでしか処理できなかったことを
装置Bでもできるようにする。
装置A,Bで処理できるので、2倍となる。
→装置の処理条件を見直す。
例えば、今まで10分かかっていた処理が
5分で同等の結果が得られれば2倍生産できることになる。
→装置の故障を減らす。装置の故障を伸ばす。
例)耐久性の良い素材を採用し、装置のパーツとして使用する。
(3)シリコンウエハの搬送を見直す
→シリコンウエハが装置に到着するまでの時間が短縮されれば
装置の待ち時間が減り、増産となる。
参考文献:半導体工場のすべて 著者:菊池正典 出版:ダイヤモンド社