半導体材料の一つであるシリコンウエハについて書いてみる。
<シリコンウエハと半導体チップ>
シリコンウエハは図.1のような円盤である。
何の加工もしていないものをベアシリコンという。(Bare:裸の、そのままの)
この上に微細回路を積み上げていくので、超平らであることが求められる。
仮に甲子園球場の大きさまで拡大しても表面凹凸は1mm以下と超平らである。
図.2 に加工後のシリコンウエハを示す。
ピンク色の部分がカットされて、1枚の半導体チップとなる。
このチップに配線をつけて、取り付けるだけの状態にして出荷される。
電化製品メーカに納入され、電化製品に組付けられる。
たとえば画像センサーの半導体の場合、Appleの工場に納入され
iPhoneのカメラ部分に取り付けられる。
グレーの部分は半導体チップにはならず破棄される。
<シリコンウエハの今後>
直径300mmが主流だが、450mmに移行していくと思われる。
理由は増産とコスト削減のためだ。
直径が大きくなればなるほど、
図.2のピンクの半導体チップの枚数が増える。
1枚当たりの半導体チップ量が増えれば、
増産とコスト削減が可能になる。
<直径450mmのシリコンウエハの問題点>
・ 直径450mmは割れるリスクが大きくなるのではないか 。
シリコンウエハの移動は機械がほぼ全て行っているため、
割れないかもしれない。
しかし、肌感覚として直径300mmの大きさが
人間の手で扱える限界だと感じる。
・450mm対応の半導体製造機械を新規に買う必要が出る。
そのため、半導体メーカは膨大な設備投資が必要になる。
設備投資が増えれば、減価償却費が重くのしかかる。
増産のメリットに対して諸刃の剣になる。
・1枚に対する製造ミス被害額が大きくなる。
製造ミス被害額が今までの1.5倍のカウンターで効いてくる。
<その他>
半導体メーカはシリコンウエハを作っていない。
ウエハメーカから購入してきている。
コストの関係で「餅は餅屋」と分業になっている。
ちなみにウエハメーカ上位3社は以下。
1位:信越半導体(日本)
2位:SUMCO(日本:サムコ、住友・三菱系)
3位:Siltronic(ドイツ)
日本のメーカが世界の約70%を生産している。
購入以外だと、試験用ウエハは加工した表面をまっさらに研磨して、
再利用している。
参考文献:半導体工場のすべて
設備・材料・プロセスから復活の処方箋まで
著者:菊池 正典 出版:ダイヤモンド社 p.34,35,42,43,72,86,