中学生のときに父から
「モーツァルトとアインシュタインどちらが天才か?」
という問いを投げられた。
当時の私はアインシュタインと答えた。
アインシュタインの基礎理論からできた
原子爆弾や原発などは現在に与えている影響が大きく
モーツァルトよりアインシュタインの方が天才
と思っていた。
回答はモーツァルトだった。
物理法則はアインシュタインでなくても
いつか誰かが突き止める。
一方、モーツァルトの音楽はモーツァルトにしか作れない。
唯一無二のことをすることが天才だとしたら
モーツァルトに軍配が上がる。
元ネタは2002年ノーベル物理学賞を受賞した小柴 昌俊さんの話だと
後から知った。
去年、モーツァルトが活躍したウィーンに行ったこと
からこの問いに答えてみる。
「モーツァルトは死後何年も経ってから”天才”になったのではないか?」
モーツァルトの墓参りに行ったが、
中央墓地から外れたザンクト・マルク墓地にある。
モーツァルトの墓には「あぁーあ残念」
みたいな表情の天使像が添えられている(図.1)。
しかも当時、適当に埋葬されたため、骨は不在の墓らしい。
一方、映画アマデウスに出てきたライバル:サリエリの
お墓は隅っこだが中央墓地にある(図.2)。
モーツァルトが住んでいた家にも行ってみた(図.3)。
オーディオ解説でモーツァルトは博打の借金で
首が回っていなかったことを知った。
当時、芸能人並みにお金があったが、浪費家だったようだ。
モーツァルトの評価は彼が死んだ当時、低かったのではないか。
ところが、死後何年もたちモーツァルトの人物評価が風化した後
残った大量の楽譜から音楽そのものが
再評価されて”天才”になったのではないか。
モーツァルトは享年35歳だが、約700曲以上アウトプットしている。
ここで問いに答えてみる。
天才の定義:死後30年後も世界中の人が知っているアウトプットがあること。
天才の度合い:(仕事の質×量)×(世界への影響年数)
音楽と物理の(仕事の質×量)を比較するのは容易でないので
モーツァルトとアインシュタインは同等と仮定する。
モーツァルトは死後30年から197年間世界に影響を与えている。
アインシュタインは34年間だ。
よってモーツァルトの方が天才なのではないか。
<余談>
モーツァルトはベートーベンの14歳先輩である。
音楽室にある厳めしい肖像画から、
モーツァルトよりベートーベンの方が年上だと思いこんでいたが、
享年の年から誤りであることがわかった。
モーツァルトがこの世を去ったとき、ベートーベンは22歳だった。
イメージによる勘違いは危ないなと感じた。