<クリーンルームとは何か?>
半導体はクリーンルームという超空気清浄な部屋で作られる。
なぜ超空気清浄な部屋が必要なのか?
それは半導体は0.001mmスケールの回路で出来ているからだ。
髪の毛の直径は約0.05mm~0.15mm
髪の毛より細い回路を作っている。
髪の毛の直径くらいのダストが半導体の回路に付着した場合、
回路を壊してしまう。
たとえば、一眼レフカメラ用イメージセンサー(半導体)に
誤ってダストが乗って出荷されたとする。
(検査で引っかかるので出荷されないが…)
夜空の写真を撮った際に、ないはずの星が写る可能性がある。
白点という現象で、光が入ってきていないのに誤って
光が入ってきていると誤検知して白い点になる。(図.1)
回路を壊さないために超空気清浄な部屋で製造される。
<クリーンルームはどれくらい空気清浄なのか?>
クラス3というクルーンルームのレベルだと
1㎥当たり、0.0005mmの微粒子が35個までとなる。
半導体にとって人間はダストをまき散らす存在である。
服についている埃、呼吸に含まれるダスト、汗に含まれるイオン
などが半導体に影響を与えてしまう。
そのため、クリーンスーツを身に着けて中に入る。
<クリーンスーツの着方>
・マスク付け、防塵ネットを頭に被る。
・目の部分だけをくり抜いた頭巾を被る。
・ワンピース型の防塵衣を着る。
・静電気対策をした靴をはく。
・洗剤と純水で手を洗う。エアタオルで乾かす。
・静電気対策をした防塵手袋をはめる。
エアシャワーを通ってスーツについたダストを払い、
ドアを何個かくぐるとクリーンルームに入れる(図.2)。
高性能なスマホやカメラを作るために、
この環境を作ってしまう人間の欲望が凄まじいと感じた。
超空気清浄な空間を維持するため、
半導体工場の一般工場見学はない。
工場見学で超空気清浄空間が崩れたら、
製造できなくなるからだ。
クリーンルームの床と天井には細かい穴の開いた板が使われる。
断面からクリーンルームを見ると
上から下に空気を循環し、フィルターで空気清浄をしている。
部屋全体が空気清浄機になっている。
クリーンルーム内は半導体のために
温度23±3℃、湿度45±15%が維持されている。
参考文献:半導体工場のすべて
設備・材料・プロセスから復活の処方箋まで
著者:菊池 正典 出版:ダイヤモンド社