<概要>
アップルのパーソナルコンピュータ(Mac)には
インテル社のプロセッサーが入っていたが、
これを独自で設計すると発表した。
プロセッサーは人間でいれば左脳のようなもので、
この能力によって計算スピードが異なってくる。
ユーザーの使い勝手、快適性に関与してくる部分だ。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2020-06-22/QCCCIKDWLU6P01
<なぜインテルから調達することをやめ、独自で設計する方針に変えたのか>
PC(Mac)とスマホ(iPhone),タブレット(iPad)との
性能差が無くなってきたから。
アップルはiPhone,iPadのプロセッサーに膨大な資金をつぎ込んで
開発をしてきており、これをPC(Mac)に応用することで
新たな付加価値をつけたいと考えている。
例えば、MacとiPhoneのアプリは別形式だが、
iPhoneのアプリがMacと同じ形式にし、自由に行き来できるようにするなど。
MacのiPhone化が進むのではないか。
インテルからチップを調達するということは、チップ仕様を自由に変更する
ことができないことを意味する。
Macは外観にこだわっているので、独自で設計できるのなら
外観に合わせられるチップを作ることでより理想のMacを作る
ことが狙いかもしれない。
<この動きは業界全体にどう影響するのか>
PCのプロセッサーはインテルを入れる
という暗黙の了解が崩れるかもしれない。
独自設計し、チップ製造は委託することで
コストを抑えつつ、各メーカ独自のチップで勝負する流れになる。
PCといればインテルのプロセッサーという定説が崩れ、
インテルは今ほど強大な影響力を持てなくなる。
代わりに台湾TSMCなどの半導体製造専門メーカが
各メーカ独自設計したチップの半導体製造を一挙に引き受け
さらに躍進するかもしれない。
<インテルは時代遅れになるのか?>
インテルの特徴は半導体の設計と製造を一貫して行っているところだ。
これにより他社による開発設計の変更がなく、独自路線でモノを作れる。
また、他社に支払うコストもない。
一方で、 台湾TSMC のように製造だけに特化した企業が台頭してきている。
理由は、半導体産業は物量がものを言う業界だからだ。
生産量が多ければ多いほど、コストが下がる仕組みなので、
勝者総取りになりやすい。
また半導体の製造は単純な組立と異なり、
人間の目には見えない処理や加工によって出来ている。
この製造ノウハウは同じ半導体製造装置を持っていても
各メーカのやり方が異なり、真似することが困難な領域になっている。
つまり、出来上がったチップは誰にでも(製品をばらせば)わかるのだが、
どうやって作ったかはなかなかわからない
というブラックボックスになっている。
コストのバランスと時代と製品の流れ次第ではintelは
時代遅れになるかもしれない。
<参考URL>
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2007/01/news029_2.html
<参考文献>
半導体工場のすべて 著者:菊池正典 出版:ダイヤモンド社