【読書#106】困難な結婚

タイトル:困難な結婚

著者:内田 樹

出版:アルテスパブリッシング(2017年4月1日)

<筆者の言いたいこと(200文字以内)>

「それなしでは集団がたちゆかない」
というような根源的に重要なことは
「誰でもできる」という条件で制度設計されている
だから、教えることも、結婚することも、
子どもを育てることも、「誰でもできる」
のでなければならない。

結婚というのは、
病気・貧乏になるという人生の危機を
生き延びるための安全保障なんです。

良い配偶者」はトラブルに合ったときに
あなたに文句を言わない人です。
あなたに当たらない。不機嫌にならない。

<今後に活かす(100文字以内)>

良い配偶者になるために
トラブルに直面したときに相手に当たらない。
不機嫌にならない。誰かを責めたりしない。
「次に何をすべきか」に瞬時に頭を切り替える。

「決断の早さと決断の適否の間に相関はない」に気を配る

<その他。気になった言葉>

・現代日本の雇用状況は、完全に国策的に作り込まれた、

若者が徹底的に搾取される雇用環境です。

男女雇用機会均等法という法律がありますね。

あれは男女の性差がなくなる「政治的に正しい法律」

だと歓迎した人たちがいましたけれど、

どうして財界人がそんな法律の早期制定を望んだのかを考えれば、

そう楽観的にはなれないはずです。

あの法律は端的に言えば

「低賃金・高能力労働者の大量創出」をめざしたものです。

給料は安いが仕事はできる、どんな雇用条件でも呑んで、

過労死するまで働いてくれる

・でも、営利企業の経営者たち、収益を増やし、

株主への配当を最優先に気づかう人たちが言い出したら、

ことが個人の幸福や自由に関わるはずがないということに

気づいた方がいい。

男女雇用機会を均等にするということは、

これまで男子に限定されていた雇用機会を

女子に拡大するということであり、

平たく言えば「求人数に対して求職者が二倍になる」

ということです。

雇用する側からすれば、より低い雇用条件で、

より能力の高い労働者を採用することができるようになる。

・労働者が規格化されるということは、

「使い勝手がよくなる」ということです。

・労働者も消費者も規格化され、

定型化されていることを資本主義市場は望みます。

・短期的な市場の要請に従っているうちに、

長期的には人間も市場も消えてしまう。

そのことをグローバル資本主義者たちは別に気にしていない。

一世代先のことなんかどうでもいいからです。

当期の利益が最大化して、当期の配当が最大化して、

自分の個人資産の残額が今増えるなら、

先のことなんかどうでもいい。

ほんとうにそう思っているんです。

・例外的な能力や才能がなければ配偶者が見つけられない

というルールでゲームをしていたら、

人類は今から数万年前に絶滅していたはずです。

少なくとも人類の発祥から半世紀はど前まではそうでした。

今が異常なんです。

・雇用の創出というのは、

「人手が要る」産業セクターを増やすことによってしか

達成できません。

とにかく人手が要る、猫の手も借りたいという

ような業種が雇用を作り出す。

・国民を食わせるために経済活動が存在するわけで、

経済活動のために国民がいるわけじゃない。

・本当の意味での国民経済とは何であろうか。

それは、日本で言うと、この日本列島で生活している

一億二千万人が、どうやって食べどうやって生きて行くか

という問題である。

・でも、そういう考えをする人はもういなくなった。

今の企業経営者もエコノミストも経済活動の目的は

「おのれの個人資産をどこまで増やすかの競争」

であり、すべての社会制度をこの弱肉強食のプロセスに

放り込めば、最も効率的で、最も生産性の高い社会が

実現するという「イデオロギー」の信者たちです。

・どうやって企業の当期の利益を最大化するかを

目標に行われている活動は「国民経済」ではないし、

そもそも「経済活動」でさえない。

・一人では食えないけれど、二人なら食える

・一人で暮らすより、二人で暮らす方が生き延びられる確率が高い

から人は結婚するんです。

・どうしていいかわからないときにでも、

どうしていいか、わかる。

これが武道家がめざす境地です。

・どのような状況に投じられても、

まるでその状況を自分が進んで作り出し、

選びとったものであるかのように、堂々と、

余裕をもってふるまうことができる境地、

それが武道家のめざすとこです。

・人間というのは、自分の判断の正しさを

証明するためなら不幸になっても構わないと思う、

そういう生き物なんです。

・だから、初心者はぴかぴかの新車を買った方がいい。

かすり傷ひとつつけちゃいけないという気持ちで運転するのが

一番安全なんだ。

・自分がその人の身に起きるたいせつなことについて

「知っていなければならない」と感じる人、

それが家族だと定義していいんじゃないでしょうか。

・結局は結婚関係っているのは、

ある意味で「権力関係」なんだということをそのとき学習しましたね。

・夫婦もそうだと思うんです。

やっぱり権力関係であって、「ボス」の権限は

原理的には「経済力」に由来する、と。

・「誰もやらない仕事は僕の仕事」というふうに考えて、

「隙間」に落ちた仕事を片付ける人が出てこないといけません。

あなたを頼り、

「あなたがいないと生きてゆけないんです」

とすがりつく人が一人もいない生き方をするということです。

それって、要するに

「いてもいなくてもどうでもいい人」になるということです。

・どうぜわからないんだったら、

「わからない」ということを前提にして、

宇宙人と暮らしているつもりでいた方がいい。

・一気にすべても実現する、一撃によって世界に正義と公正

をもたらすというふうに考えると人間はろくなことをしない

という歴史の経験則に基づいた考え方です。

・自分がいま属している組織の原理を拡大してものしか

人間は実現できません。

・貧しくても、無名であっても、

さまざまな物心の不如意があっても、

とりあえず「まあ、何とかなるよ」と

にこにこ笑っていられるような「機嫌のよい夫婦」

によってしか

「夫婦が機嫌よく暮らす未来」は築けない。

・相手がいないときに、

相手がいない場所で、相手がしないことをする。

それを自分の主務とする。

そして、一緒にいるときはできるだけ

相手の邪魔にならないようにする。

・「おはよう」「いただきます」「ごちそうさま」

「いってきます」「いってらっしゃい」「おかえりなさい」「おやすみなさい」

この7つが言えていれば、家庭はほぼ円満です。

・敬意というのは、相手は「鬼神の類かもしれない」

という畏怖に裏打ちされているということです。

・病気のときに聞きたいのは

「がんばらなくていいんだよ」

「もう努力しなくていいんだよ」

という言葉です。

・反省というのは、元気がよくて暇なときにするものです。

・とにかく適宜「きれいだよ」と言う。

「嘘!」とか「白々しいこと言わないで!」とか

言われても気にしない。どんどん続ける。

・結婚というのは本来

「配偶者に対する愛も理解もそれほどなくても十分維持できるし、

愉快に過ごせる」ということをデフォルトとして

制度設計されたものです。私はそう考えております。

・片付けられる人というのは

「じゃんじゃんものを捨てられる人」のことなんです。

・他者に対する好奇心は、自分に対する好奇心に相関する。

・国境だの国土などというものは、人間が勝手にこしらえあげた、

ただの「アイディア」である。

だから、自分の国はすごいぞ、偉いぞと鼻の穴から息を吹き出し、

他国を侮り、その不幸を喜ぶ人間たちが自ら称して

「忠君愛国」とし、これを「国民最上の美徳」

とするなんてバカみたいだ、と。

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