タイトル:バカの壁
著者:養老孟司
出版社:新潮新書
<筆者の言いたいこと>
人間の脳は計算機としてシンプルに作られている。
yを出力、xを入力とすると脳は一次方程式y=axを行う臓器だ。
a=0は無関心。a=プラスは良い感情。a=マイナスは嫌な感情。
EQとは社会が求めるaに合わせる能力のことを言う。
生き物は日々変化していくシステムだ。
現在の人間は自身は不変な情報であると信じている。
実は逆で人間は日々変化し、情報の方が不変である。
それを無自覚に過ごしている。
<今後に活かすこと>
勉強するとはy=axのaを0からプラスに変える。
社会が求めるaに変えていくこと。
「個性を発揮しろ」というのは
「求められる個性」を発揮しろという矛盾した要求である。
スポーツ選手の個性は身体の個性である。
<その他>
・学問というのは、生きているもの、万物流転するものを
いかに情報という変わらないものに換えるかという作業です。
・学者はどうしても、人間がどこまで物を理解できるかということを追求していく。
言ってみれば、人間はどこまで利口かということを追いかける作業を仕事としている。
逆に、政治家は、人間はどこまでバカかというのを読み切らないといけない。
しかし、大体、相手を利口だと思って説教しても駄目なのです。
どのくらいバカかということが、はっきり見えていないと説教、
説得は出来ない。
相手を動かせない。従って、多分、政治家は務まらない。
・戦争というのは、自分は一切、相手が死ぬのを見ないで殺すことができる方法
をどんどん作っていく方向で「進化」している。
・目で見ようが耳で聞こうが同じ言葉になるのと同じで、
どのようにして金を稼ごうが同じ金なのです。
金の世界というのはまさに脳の世界です。
・要するに都市生活、つまり経済というのは、
エネルギーがない限り成り立たない。これは大前提です。
すると、一エネルギー単位が実は一基本貨幣単位だといいうのは、
実体経済のモデルとして考えられるのではないか。
・楽をしたくなると、どうしても出来るだけ脳の中の係数を固定化したくなる。
aを固定してしまう。
それは一元論の方が楽で、思考停止状態が一番気持ちいいから。