【読書#90】21 Lessons

<読んだ本>

21 Lessons

著者:ユヴァル・ノア・ハラリ 訳:柴田裕之 出版社 河出書房新社

<筆者の言いたいこと(200文字)>
 
人間は、事実や数値や方程式ではなく物語の形で物事を考える。
ファシズム、共産主義、自由主義という三つの物語のうち、
自由主義が生き残った。
政治制度と経済制度を自由主義化・グローバル化し続ければ、
繁栄するという物語だ。
しかし、イギリスのEU離脱、トランプ大統領選出などが起こり、
この物語は達成困難に見える。
政治家、有権者は新技術の危険を統制出来ていない。
バイオテクノロジーは人間を作り直す可能性がある。
 
<今後に生かす(100文字以内)>
・何らかの重要な問題にぶつかった際は科学文献を読んでみる。
・沈黙は中立ではなく、現状の支持を意味する。
 自分の専門技術領域がニュースになっているときは
 解りやすく人に説明することを試みる。
 
<気になった言葉>
・でっち上げの話を1000人が一か月信じたら、
それはフェイクニュースだ。
だが、その話を10億人が1000年間信じたら、
それは宗教で、信者の感情を害さない(あるいは、怒りを買わない)
ために、それを「フェイクニュース」と呼ばないように諭される。
 
・「ファシズム」という言葉、「棒の束」を
意味するラテン語の「fascis」に由来する。
世界史上有数の残忍で有害極まりないイデオロギーの
象徴としては、ひどく魅力のないもののように聞こえる。
 
・AIとバイオテクノロジーが人間に与えつつある。
程なく誰かが、この力をどう使うを決めざるをえなくなる-
生命の意味についての、何らかの暗黙の、あるいは明白な
物語に基づいて。
哲学者というのは恐ろしく辛抱強いものだが、
それに比べると技術者はずっと気が短く、
資本家はいちばん性急だ。
 
・沈黙は中立ではなく、現状の維持を意味する。
 
・イスラエル人とパレスティナ人の間の平和条約締結を
阻む大きな障害の一つは、イスラエル人がエルサレムの町を
分割したがらないことだ。
 
この町は「ユダヤ民族の永遠の都」であり、
永遠のものに関しては絶対に妥協できない、と彼らは主張する。
 
永遠に比べれば、何人か人間が死ぬことなど、
物の数とも思われないではないか?
 
これはもちろん、まったくのナンセンスだ。
 
「永遠」は、どんなに短くても138億年ある。
それが現在の宇宙の年齢だ。
 
地球はおよそ45億年前に形作られ、
人類は少なくとも200万年存在してきた。
 
それに対して、エルサレムはわずか5000年前に創設され、
ユダヤ民族は長くても3000年の歴史しか持たない。
これでは永遠と言う資格はとうていない。
 
・過去数十年の間に、神経科学や行動経済学のような
領域での研究のおかげで、
科学者は人間のハッキングがはかどり、とくに、
人間がどのように意思決定を行なうかが、
はるかによく理解できるようになった。
 
食物から配偶者まで、私たちの選択のすべて、
謎めいた自由意志ではなく、
一瞬のうちに確率を計算する何十億ものニューロンによって
なされることが判明した。
 
自慢の「人間の直感」も、実際には「パターン認識」
にすぎなかったのだ。
 
優れた運転者や銀行家や弁護士は、
交通や投資や交渉について魔法のような直感を持っている
わけではなく、繰り返し現れるパターンを認識して、
不注意な歩行者や支払い能力のない借り手や
不正直な悪人を見抜いて避けているだけだ。
 
・脳のアルゴリズムは、都会のジャングルではなく
アフリカのサバンナに適応した経験則や
手っ取り早い方法、時代遅れの回路に頼っている。

・イギリスがEUを離脱するべきかどうかを決めなければ

ならなくなったとき、デイヴィッド・キャメロン首相は

この問題を解決するために、エリザベス女王や

カンタベリー大主教、オックスフォード大学や

ケンブリッジ大学の教官にお伺いを立てることはなかった。

議員たちにさえ尋ねなかった。

その代わり、国民投票を行い、

「この件に関してどう感じますか?」と全国民に問うたのだった。

人々は「どう感じますか?」ではなく

「どう考えますか?」と問われたのだと、

異議を唱える向きもあるかもしれないが、

これはよくある誤解だ。

国民投票や選挙は、人間の合理性にまつわるものではなく、

つねに感情にまつわるものだ。

もし民主主義が合理的な意思決定に尽きるのなら、

すべての人に同じ投票権を与える理由は断じてない。

いや投票権そのもを与える理由すらないかもしれない。

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