【読書 #62】現代語訳 近代日本を形作った22の言葉

<読んだ本>

現代語訳 近代日本を形作った22の言葉 五箇条の御誓文から日本国憲法まで

著 片山社秀 荻上チキ  出版社 朝日新聞出版

<筆者の言いたいこと(200文字以内)>

五箇条の御誓文は明治維新を継続させるための物語だった。
殿様に忠誠を誓っていた侍たちを、天皇へ
忠誠対象に置き換えることで日本をまとめようとした。
近代国家という概念では、侍たちを説得できなかったためだ。
日本国憲法は「民主主義」「国民主権」で設計されている。
世界に対して安全な国であると証明するための設計図であった。

また、戦前・戦中に侵害されていた言論の自由が認められる状況を作るために機能している。

<今後に生かす(100文字以内)>

歴史の授業で必ずでる言葉ばかりだが、その言葉がどう機能し

歴史に影響したかを知らなかった。原文をあたるようにしたい。
大日本帝国憲法の平常時と平時で解釈が正反対になってしまうところが怖い。

<その他 気になった言葉>

[大日本帝国憲法について]

・非常時と平時で、解釈がほとんど正反対になってしまう。しかも大日本帝国憲法は、一度も1字たりとも改正されなかった憲法です。

・あえてわかりやあすく言えば、「天皇の名による押し付け憲法」となった。

・天皇が決めて失敗したら、責任をとらされ、後醍醐天皇の短命に終わった「建武の新政」のように明治維新も短期で終了するのではないか心配した。そこで天皇が国家の最上位に立ってすべてを支配できるかのような文面の憲法にしながら、実際の運用においては、天皇には基本的にうなずく以上のことはしてほしくない。

・既得権益層が一気に瓦解することがないように、せめて自分たちの世代は安定した暮らしを維持したいという感じがあります。

[国際連盟規約]

・戦争には「正しい戦争」も「悪い戦争」もなく、正義を持ち出して道徳的にそれを止めることは不可能である。

・「持てる国」「持たざる国」「あとから来た国」「先に取っていった国」の対立をうまく解決できないまま、第二次世界大戦に突入してしまいました。

[治安維持法]

・カウンターの言説を奪ったことが、戦争を暴走させる大きなきっかけとなったことは避けては通れない評価だと思います。

・新聞社にとっては、「制限」と「売れる」という両方に、言論空間がゆだねられていたわけです。

・その意味では日本的な”適当さ”を最大限に生かして、運用の裁量を膨らませることで機能した法律と言えます。

[一身上の弁明(天皇機関説)]

・果たして貴族院の品位の為に許され得ることであるかどうかを疑ふ者でありまするが、…

・美濃部は、近代的なナショナリストで、天皇中心の国家を積極的に認めていました。戦争に反対していたわけでもありません。ただ、美濃部の考える日本は立憲的な近代国家であって、そのうえでのナショナリストである。天皇が超法規的で当たり前だという超国家主義にはついていけない。そして美濃部は自分の憲法学説が国家公認である限り、日本は近代的な国家主義の国だと信じていた。ところが自分の学説がいけにえにされて、日本は国家主義から超国家主義に化けてしまった。

[日独伊三国同盟]

・日本とドイツとイタリアが国際連盟を脱退した理由は、結局グローバリズムを否定したからでしょう。

[開戦の詔書]

・1933年まではジュネーブに代表団を置き、国際連盟による世界平和と秩序の形成を担う常任理事国だったわけです。ところがほんのわずかで「尊王攘夷」の時代に戻っている。

[ミズーリ号降伏文書]

・沖縄の本土復帰のプロセスやその後の自治が問題化されるのも、未だに沖縄は県民の民意より、中央政府およびアメリカの意見が優先されるのかという、民主主義への問いがあるためです。

[国際連合憲章]

・敗戦国の名誉というものはない。罪人なのです。そこで犯罪国家を矯正するために占領する。日本の場合は、1952年まで占領されていたので、懲役7年だった。連合国側に参加している国がまっとうで合法的であり、それに抵抗する国は犯罪国家である。罰しなくてはならない。そういう世界の秩序ということですね。

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