【読書#78】十六歳のオリザの冒険をしるす本

<読んだ本>

十六歳のオリザの冒険をしるす本

著 平田オリザ  出版社 講談社文庫

<筆者の言いたいこと(200字以内)>

すべての旅は 、自分から出発して

自分自身に帰結するはずだ 。

ところが 、アテネで会った針金師たちは 、

ヨ ーロッパを汽車で回る旅を 、

安易で軟弱な旅として侮蔑した 。

そしていま 、その安易で軟弱な旅人たちは 、

団体旅行に罵詈雑言を投げつける 。

旅の重さは 、人の生きる重みと等しく 、

その長さや内容に関係はない 。

<今後に生かす(100文字以内)>

「死にゃーしない 」や 「やるっきゃない ! ! 」という言葉は 、私たちが成長していくエネルギ ーなのです 。というのが面白いと感じた。

新しいことや未知のことに怯んだときに

この言葉を思い出したい。


<その他 気になった言葉>

・その点、育ち盛りに東京を脱出して、

いい空気を吸ってくる君の作戦は正しい。

君のしていることは正しいことだらけだ。

だから周りは心配しているのだ。

・第一 、「心配だから帰ってこい 」

ということにいろいろ理由をつけ 、

正当化しようとするのは 、

昭和一ケタの偽善であり 、

愛への冒瀆であります 。

・国境をこえて変るのは言語である 。

例外もあるにはあるが 、

言葉というやつだけは 、

国境を境に区別されることが多い 。

・僕らの世代は 、

まったく飢えることを知らない世代です 。

自ら飢えるということは 、本当に滑稽な 、

ぜいたくではありますが 、それでも僕は 、

飢えなければいけないのではないかと 、

あるいは 、いっそ飢えてしまいたいと

切実に思うのです 。

・僕にとってこの旅は 、いま現在 、

非常に重要なものですが 、僕が 、

こう生きたいと思う人生 、または 、

その人生の模索の中においては 、

ひとつの通過点でしかないことを 、

僕自身 、十分わかっているし 、

この旅よりまったく目立たないことでも 、

重要なことが 、それはもう気が狂わんばかりにたくさんあることは 、

強く認識しているのです 。

・冒険には 、周到な準備期間と 、

その準備期間の空虚に耐える

精神力が何より求められる 。

・「どこ行くんだい ? 」

彼は 、僕の大きな荷物を積んだ自転車に 、

強い好奇心を持ったようで 、

不思議そうに声をかけてきた 。

といっても 、その簡単な質問の内容を 、

こちらが理解するまでには 、

信号が青に変わりまた赤にもどるまで

かかったのだが 、それでも僕は 、

彼の英語の大意が理解できたことに

気をよくして 、自信を持って答えた 。

「ニュ ーヨ ーク ! ! 」

彼は 、不思議そうな表情を崩さないまま 、

もう一度 、言った 。

「えっ 、どこ行くんだって ? 」僕の答えを 、

彼が理解できなかったのは 、

僕の発音が不完全であったためか 、

または 、答えの内容が 、

彼にとって余りにシュ ールリアリスティック

だったからかは判断できなかったけれど 、

それでも迷わず 、再度自信を持って 、

三度目の赤信号を横目で見ながら 、

僕は答えた 。

「ニュ ーヨ ーク ! ! 」

「ニュ ーヨ ーク ? 」

「イエス 、ニュ ーヨ ーク ! ! 」

彼は 、僕の答えを理解したにもかかわらず 、

顔に疑問符を付けたまま 、

さかんに何かを語りはじめた 。

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