<読んだ本>
十六歳のオリザの冒険をしるす本
著 平田オリザ 出版社 講談社文庫
<筆者の言いたいこと(200字以内)>
すべての旅は 、自分から出発して
自分自身に帰結するはずだ 。
ところが 、アテネで会った針金師たちは 、
ヨ ーロッパを汽車で回る旅を 、
安易で軟弱な旅として侮蔑した 。
そしていま 、その安易で軟弱な旅人たちは 、
団体旅行に罵詈雑言を投げつける 。
旅の重さは 、人の生きる重みと等しく 、
その長さや内容に関係はない 。
<今後に生かす(100文字以内)>
「死にゃーしない 」や 「やるっきゃない ! ! 」という言葉は 、私たちが成長していくエネルギ ーなのです 。というのが面白いと感じた。
新しいことや未知のことに怯んだときに
この言葉を思い出したい。
<その他 気になった言葉>
・その点、育ち盛りに東京を脱出して、
いい空気を吸ってくる君の作戦は正しい。
君のしていることは正しいことだらけだ。
だから周りは心配しているのだ。
・第一 、「心配だから帰ってこい 」
ということにいろいろ理由をつけ 、
正当化しようとするのは 、
昭和一ケタの偽善であり 、
愛への冒瀆であります 。
・国境をこえて変るのは言語である 。
例外もあるにはあるが 、
言葉というやつだけは 、
国境を境に区別されることが多い 。
・僕らの世代は 、
まったく飢えることを知らない世代です 。
自ら飢えるということは 、本当に滑稽な 、
ぜいたくではありますが 、それでも僕は 、
飢えなければいけないのではないかと 、
あるいは 、いっそ飢えてしまいたいと
切実に思うのです 。
・僕にとってこの旅は 、いま現在 、
非常に重要なものですが 、僕が 、
こう生きたいと思う人生 、または 、
その人生の模索の中においては 、
ひとつの通過点でしかないことを 、
僕自身 、十分わかっているし 、
この旅よりまったく目立たないことでも 、
重要なことが 、それはもう気が狂わんばかりにたくさんあることは 、
強く認識しているのです 。
・冒険には 、周到な準備期間と 、
その準備期間の空虚に耐える
精神力が何より求められる 。
・「どこ行くんだい ? 」
彼は 、僕の大きな荷物を積んだ自転車に 、
強い好奇心を持ったようで 、
不思議そうに声をかけてきた 。
といっても 、その簡単な質問の内容を 、
こちらが理解するまでには 、
信号が青に変わりまた赤にもどるまで
かかったのだが 、それでも僕は 、
彼の英語の大意が理解できたことに
気をよくして 、自信を持って答えた 。
「ニュ ーヨ ーク ! ! 」
彼は 、不思議そうな表情を崩さないまま 、
もう一度 、言った 。
「えっ 、どこ行くんだって ? 」僕の答えを 、
彼が理解できなかったのは 、
僕の発音が不完全であったためか 、
または 、答えの内容が 、
彼にとって余りにシュ ールリアリスティック
だったからかは判断できなかったけれど 、
それでも迷わず 、再度自信を持って 、
三度目の赤信号を横目で見ながら 、
僕は答えた 。
「ニュ ーヨ ーク ! ! 」
「ニュ ーヨ ーク ? 」
「イエス 、ニュ ーヨ ーク ! ! 」
彼は 、僕の答えを理解したにもかかわらず 、
顔に疑問符を付けたまま 、
さかんに何かを語りはじめた 。