タイトル:「空気」と「世間」
著者:鴻上尚史
出版:講談社新書
<筆者の言いたいこと>
自分に関係のある世界のことを「世間」
自分に関係のない世界のことを「社会」と呼ぶ
日本人はヨーロッパから輸入してきた「社会」<建前>と
「世間」<本音>の二重基準で生きている
「世間」は下記5つのルールがある
1.もらったら必ず返す
2.年上というだけで尊敬されて、大切にされる
3.集団の時間感覚に従って生きて行く
4.出る杭は打ち、出た杭は村八分にすること
5.「社会」から見たら無意味な<迷信>を守ること
「空気」は固定される前の「世間」のことだ。
上記の5つが揃うと「空気」は「世間」に固定される
<今後に活かすこと>
世間的な価値ではなく、社会的な価値を高める。
「社会」に向かって文章を書く。
まったく違ったバックボーンを持った人に理解してもらうために
ちゃんとした状況説明を行う文章を書く。
<仮説>
少子化問題は会社という世間がグローバル化で壊れた結果なのではないか。
日本人は農村という「世間」で使っていたルールを会社用語に翻訳した。
「共通の時間意識」と「贈与・互酬の関係」⇒「終身雇用」
「長幼の序」⇒「年功序列」
日本の経営者はグローバル化に伴い、海外に工場を作り
福利厚生などが不要でいつでもクビを切れる派遣社員を導入する
合理的な判断を行った。
会社という「世間」が不安定になったことで
日本人の経済的、精神的なセーフティネットが壊れた。
雇用が安定しないので日本人は家庭を作らず、守ることも容易でなくなった。
だから子どもを産まず少子化となっているのではないか。
<気になった言葉>
・「敬語とは話し手と聞き手の対等性を持った言葉」
・何が「迷惑」なのか分かっているのは、「世間」です。
けれど、グローバル化が進めば、自分の活動や欲望が、
相手の「迷惑」になるかどうかは、実際に
ぶつかってみないと分からないのです。