ニュース記事「 広告クリエイティブで日本が「後進国」化している理由-カンヌ・ライオンズ2018レポート-」_26

ニュース記事概要

現在のマーケティング業界のトレンドで重要なキーワードが2つある。

それは「社会のグッド」と「成長の原動力」である。

企業が何らかの社会課題に取り組み、広告キャンペーン等のマーケティング施策で世の中を変える意思を表明することが、いまはグローバルにビジネスを展開する企業の常道となっている。

欧米圏のリーディングカンパニーは、メディア環境の変化も含めて社会が流動化・不安定化していく中で、グッドを行わない企業はやがて顧客にリーチする(=ファン作りをする)ことができなくなって競争力を失うと合理的に考えている。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kawajirikoichi/20180718-00089740/


カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル:
世界最大規模の広告・コミュニケーション関連のアワード

約100カ国から15,000人以上の来場者が集まり、全21部門に40,000点を超える作品が応募される

日本のカンヌ・ライオンズ結果

2018年:1055エントリー 受賞数 20 (1.89%:受賞数÷エントリー数)

2017年:1378エントリー 受賞数 38  (2.75%:受賞数÷エントリー数)

他国のカンヌ・ライオンズ結果(2018年)

アメリカ:8,291 エントリー 受賞数 332 (4.00%:受賞数÷エントリー数)

イギリス:2,462 エントリー   受賞数 110 (4.46%)

ブラジル:2,131 エントリー   受賞数 101 (4.73%)

ドイツ:1,752 エントリー     受賞数 70  (4.00%)

参考URL

https://www.campaignjapan.com/article/%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%8C%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%B3%E3%82%BA2018%EF%BC%9A%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%8B%A2%E3%81%AE%E5%8F%97%E8%B3%9E%E4%BD%9C%E5%93%81/445603

https://www.canneslionsjapan.com/cannes/about-cannes-lions

(1)相反する2つ以上の意見

P&G社最高ブランド責任者 マーク・プリチャード氏

ジェンダー・イコーリティ(の訴求)は、社会とビジネスの両方に良い効果がある。

現在P&Gでもっとも好調なブランドの中には、そのテーマでキャンペーンを行ったものがいくつもある。…ジェンダー・イコーリティを推進することが、”社会のグッド”だけでなく”成長の原動力”になるのは明らかだ

そもそもなぜ、大企業のマーケティング部門トップの男性が、世界の聴衆を前に「ジェンダー・イコーリティの推進」を熱く語るのか?

「社会貢献型キャンペーン」や「CSR」系がブランディング施策の主流と、仮に言葉でまとめてみたところで、それが日本の現状からかけ離れていることもあり、何だか遠い世界で起こっていることのようでリアリティを感じにくい

国内でビジネスを展開するだけなら、マーケティング施策にグローバル化は必要ないはずだ(広告表現は固有の文化のもとで流通する。ハイコンテクストな日本のカルチャーは海外に届きにくい。言語の壁もある)

モノ・ヒト・コトが容易に国境を越えていく時代に、「国」という枠組みを軸に企業活動を図ろうとする発想自体がもう古い

日本企業は能力が低いというよりも、世界の暗黙のルール変更についていけていない(あるいはついていく必要性を感じていない)。

(2)仮説

欧州グローバル企業は、商品・サービスを宣伝するだけでは顧客に選ばれないと考えている。

理念・行動指針を示し、社会にどう良い影響を与えるのか?を重要視している。

一方で、日本はリーマン・ショック後のこのトレンドに乗っていない。

社会的な問題を解決するイメージを持たれる

→顧客に選ばれやすくなる→企業の成長と収益増加

という思考をしている経営トップが日本に少ないのではないか。

(3)中立な立場で提案する

国内仕様ではなく、最初からグローバル仕様で製品・サービスを企画する。

グローバル仕様にすると決めたら、必然的に「社会のグッド」を狙わざるをえない。

そうすれば、「社会にどう良い影響を与えるか?」という流れに乗るのではないか。

また、日本企業であれば社員の多国籍化の推進が必要になると感じる。

日本の外から見る人がいないと中々グローバル仕様にならない。

スマートフォンは国内仕様ではなく、グローバル仕様で最初から考えていたら

ここまで遅れをとることはなかったと感じる。

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