ニュース記事概要
阿波踊りを主催する「阿波おどり実行委員会」の発表では、今年の8月12~15日の4日間の人出は108万人。記録が残る1974年以降で最も少なかった。
その原因の一つとされるのは、阿波踊りの「華」と呼ばれる、総踊りの中止を徳島市の遠藤彰良市長が突然、発表したこと。
反発した阿波おどり振興協会が13日夜、独自に「総踊り」を決行したことで、大きなニュースになった。
今年1月、大手都銀のシンクタンクが作成した<阿波おどり経済波及効果分析業務報告書>
によると日本人の人出が約21万人、外国人が約1400人、合計21万1400人であった。
昨年の人出は123万人、今年は108万人、5倍から6倍もの差がある。
https://dot.asahi.com/dot/2018082200087.html
・徳島市観光協会は、阿波踊りの実施などで累積4億3600万円の赤字となり破産申請をした。
・4演舞場のチケット販売率
南内町(総踊り会場):100%
藍場浜:50%
紺屋町:50%
市役所前:30%
参考URL
https://biz-journal.jp/2018/08/post_24425.html
(1)相反する2つ以上の意見
遠藤市長
総踊りの中止により、有名人気連の出場演舞場分散化を図り、総踊り会場以外の会場の売上を増加させる。その結果、売上の増収を図る
「阿波おどり振興協会」の山田実理事長
「遠藤市長の強引な手法で阿波踊りの中心、主役の有名連を抑え込み徳島市役所主導でやったことが最大の失敗。実行委員会のメンバーでもある徳島新聞社の利権を牛耳っているという暗部が報道で暴き出され、マイナスイメージが広がった。それが過去最低の108万人という人出になった」
前出・元徳島市観光協会幹部
「なぜ、シンクタンクに調査を依頼したかといえば、人出の調査がええ加減なんですよ。協会の役員、徳島新聞、徳島市役所の経済部幹部が阿波踊り開催期間中、街を歩いて、『去年より人出が多いな』『駐車場も満車らしいな』とそんな調子で、人出を発表していた。はっきり言って、いい加減なものです。客観的データがないと、赤字の阿波踊りを改革できないと、安くないお金を払い、依頼したのです」
実行委員会担当の徳島市の経済部、須藤浩三氏
「人出の計算は、去年までと同じ方法です。ホテルの宿泊者数、駐車場、そして実行委員会と徳島新聞とで阿波踊りの会場周辺を見て歩き、総合的に判断しました。報告書のことは知りません」
徳島新聞関係者
「阿波踊り関連の収入は徳島新聞とその関連会社にとっては、ドル箱です。人出100万人、経済波及効果100億円という数字は広告などの面で大事。というのも、阿波踊りの前には高知市でよさこい祭りがあって、こちらも100万人と言われており、負けてはならないのです。何があっても100万人超えとならないと、困るのです」
(2)仮説
問題点
①「阿波おどり」の来場者数がそもそも少ないこと。
(徳島市観光協会が破産した原因をじっくり考えなかったこと。)
②「実行委員会」が来場者数の少ない3演舞場の価値を上げる方策を考えなかったこと。
(総踊りを中止して、相対的に来場者数を上げようとしたこと。)
③「阿波おどり振興協会」が総踊りの実施にこだわったこと。
来場者数の実際は発表数の1/5程度であった。
来場者数が想定より少ないため赤字となり、徳島市観光協会は破産した。
↓
「阿波おどり振興協会」も「実行委員会」も
広告する規模の来場者が来ていると信じていた。
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「実行委員会」は、総踊りが他の3演舞場のチケット販売を低迷させているとして、6月に中止を発表。有名連(踊りの出場グループ)を4演舞場に均等に配置すると決めた。
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「阿波おどり振興協会」は「踊り手をないがしろにする」と反発し、演舞場外で独自に総踊りをする意向を示し、「実行委員会」の中止指示を無視して総踊りを実施した。