ニュース記事概要
生活に困窮するほどではなく、好きなことに多少の金を掛けられるものの、将来には希望が持てない「マイルド貧困」となる人が出てきている。
転職をするが、キャリアアップとならず、生活レベルも現状維持のままである「マイルド貧困」は同じところをグルグル回っているように見える。
人材の流動化により、個人の能力を上げずに、パーツとして使いまわす社会構造が「マイルド貧困」を生んでいるのではないか。
https://diamond.jp/articles/-/177157
表.1 日本の階級ごとの人数、就業人口率、平均世帯年収、平均資産総額、貧困率 | |||||||
平均世帯年収[万円] | |||||||
階級 | 人数 [万人] |
就業人口率 | 男性 | 女性 | 平均資産総額 [万円] |
貧困率 | |
1 | 資本家階級 | 254 | 4.1% | 1070 | 1039 | 4863 | – |
(経営者・役員) | |||||||
2 | 新中間階級 | 1285 | 20.6% | 804 | 788 | 2353 | – |
(被雇用の管理職・専門職・ 上級事務職) |
|||||||
3 | 正規労働者階級 | 2192 | 35.1% | 569 | 687 | 1428 | 2.6% |
(被雇用の単純事務職・販売職・ サービス職・その他マニュアル労働者) |
|||||||
4 | 旧中間階級 | 806 | 12.9% | 587 | 2917 | 17.2% | |
5 | アンダークラス | 929 | 14.9% | 343 | 1119 | 38.7% | |
(非正規労働者) |
http://news.kodansha.co.jp/5787
https://diamond.jp/articles/-/173993?page=5
(1)相反する2つ以上の意見
マイルド貧困者
「何か買いたいものがあるわけでもないから、月々わずかながら貯金をしています。結婚、住宅購入など考えられない。来年も再来年も、今と何の変化もなく同じ時間を過ごしているのではないか、という不安はありますね。唯一の楽しみは、月に数回、池袋や埼玉県内の繁華街で飲みに行ったり、遊んだりすることだけですね」
ダイヤモンド・オンライン
勤続年数が短くキャリアが断絶した転職を繰り返してしまうと、キャリアアップどころか収入増にもつながらず、「マイルド貧困」に陥ってしまう。そういう意味では、社会的な構造が「転職型マイルド貧困」を生み出しているとも言えるのだ。
橋本健二氏 早稲田大学人間科学学術院 教授
「アンダークラスは現時点では、929万人。日本の人口は減少するにもかかわらず、25年には1000万人を超える。アンダークラスの多くは子供を持たず”一代限り”の人が多いはずですが、企業が非正規労働者を求めるため、中間層の子供たちが新たにアンダークラスに流れ込む可能性が高い」
参考URL
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/090600161/081600065/?P=2
(2)仮説(450文字以内)
マイルド貧困の何が問題なのか?
・「マイルド貧困」が「アンダークラス」に飲み込まれると、
「アンダークラス」は1000万人突入する。
→日本社会全体:社会保障費の増大や、犯罪増加のリスク上昇が懸念される。
・「アンダークラス」は自力では階級を上げられない社会構造になっているが、
「マイルド貧困」自身がその一歩手前にいる危機意識が低いこと。
自己防衛手段を考えていないこと。
「マイルド貧困」を生み出す社会構造
1.日本企業はバブル経済末期の1990年頃に大量の非正規労働者を投入して人件費の削減を行った。これにより企業は延命した。
↓
2.企業は人件費削減から利益を得れたため、新しい付加価値のあるモノ・サービス、それを生み出す人に投資しなかった。
↓
3.企業は人件費を下げながら付加価値のないモノ・サービスから利益を捻出し続けた。
労働者はやりがいを見つけられず辞める。→4.
身体 or 精神を病んで辞める。or 親の介護によるリタイヤ。→「アンダークラス」
4.同じような労働環境の企業に雇われて3.を再生産する。→「マイルド貧困」