【読書 #69】憲法問答

<読んだ本>

憲法問答

著 橋本徹、木村草太   出版社 徳間書店

<筆者の言いたいこと(200字以内)>
憲法は国家権力を縛るものである。
国民が守るルールではない。
憲法に先立つのは権力悪ではなく、権力不在による無秩序だった。
無秩序という悪を是正するために主権国家権力を頑張って打ち立てた。
そして今度は、権力が濫用されないようにコントロールしようという段階になり、憲法が必要となった。

自分の一声で何万人、何十万人が動くパワーを持つと人間はおかしくなる。
憲法はたったの99条で安全装置として機能している。


<今後に生かす(100文字以内)>

「民主主義の最も重要な機能は権力者の首を刎ねること」「いい人を選ぶのではなく、ダメなやつを辞めさせられるのが民主主義 」という逆からの発想が新鮮だった。投票による意思表示が重要と感じた。


<その他 印象に残った言葉>

・立憲というのは、絶対的な正義を前提とするのではなく、何が正義かわからないなかで、少しでも正義に近づけるプロセス・仕組みを工夫することだと思います。

・原発の使用済み核燃料の最終処分施設が日本には設置されていません。ゆえに原発を抱える日本の状況は、トイレなきマンションとも言われています。

・一般的な手続き法に「沖縄」という固有名詞を付けることができないので、「米軍設置手続法」というものになるでしょう。この手続法が国会で審議されるようになって初めて、本土の国会議員や本土の各自治体が沖縄の基地負担問題を真剣に考えるようになると思います。

・内閣の心ひとつで自分の住む町にも米軍基地が作られるかもしれない、と自分の身に置き換えて考えるようになれば、沖縄が何を奪われてきたか、国民にわかりやすくなりますね。

・憲法の下では、日本政府は国民の生命等を守る義務があり、この限りで、日本が外国から武力攻撃を受けたときには防衛のたもの武力行使をする権限がある。この権限の行使は、国際法的には、個別的自衛権の行使として正当化される。

・諸外国の憲法には、軍事権に関する規定があり、責任者は誰か、意思決定はどのように行うかが書かれているが、日本の憲法にはそのような規定が存在しないゆえに領域外においては武力を使った活動はできない

・まずは政策的にやりたいことを明確に示して、その是非を問う。そして、それが憲法の枠組みのなかで許されるかを検討する。もし憲法で許されないならば、憲法を改正してでもそれを実現したいかを国民に問う。

・憲法9条の解釈から参加できないというよりも、政府は憲法上権限を与えられていないし、憲法上の手続き規定が存在しないから(国連軍に)参加できないという理由です。

・日本政府にどんな権限を与えるかは、憲法の条文という形で国民が決めることです。

・決定権と責任はワンセットでなければなりません。責任の重さに応じて強い決定権が与えられる。

・国民投票が、国民によるただの拒否権だとすると、決めるのは国会議員だとなるので、国会議員が改正案の中身に賛成の場合にだけ国民投票にかけることになりますね。そして国民は、案に反対のときだけ国民投票で否決する権利を有する。しかし、国民が実質的な決定権を有しているのであれば、国会議員は改正案の中身に反対でも、とにかく国民投票にかけることを優先しなければならない。

・国会が判断すべきなのは。「この案を実現した方がよいか」ではなくて、「この案は国民に判断してもらうべきことか」です。

・「 ひとつのケーキをふたりで分ける際にケーキを完全に真っ二つに割ることはできない。そこでふたりのうち、ケーキを切らなかった者から先に選ばせる、すなわちケーキを切った者が後から選ぶというプロセスにする。そういうルールにすればケーキを切る者は、自分のケーキ が小さくならないように真っ二つに 割ろうと限界まで努力するし、ふたりはこのケーキの分け方に納得する。これが適正手続きという考え方だ」

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