<読んだ本>
ファイナンス思考
日本企業を蝕む病と、再生の戦略論
著 朝倉祐介 出版社 ダイヤモンド社
<筆者の言いたいこと(200字以内)>
目先の売上や利益を最大化することを目的としている。
そのため日本経済は停滞している。
企業価値を上げるために、長期的視点で事業や財務に関する戦略を総合的に行う必要がある。
目先の利益に囚われている原因。
・市場が拡大した時代の成功体験に固執している。
・役員の高齢化→大過なく過ごそうとするため将来への投資が後回しになる。
・銀行融資がメインである→銀行は金利で利益を得るため、積極的な成長策は求めていない。
<今後に生かす(100文字以内)>
倒産は必ずしも悪ではないと感じた。
アメリカは過去20年で上場企業7000→3600社に減少。
市場に残った企業の時価総額は3倍へ。
日本は3700社あるが、全体の時価総額は米国の1/5に留まっている。
<その他 印象に残った言葉>
・「増収増益を果たすことこそが社長の使命である」
「業績を良くするために売上を増やそう。けれども利益は減らすな」
「今期は減益になりそうだから、マーケティングコストを削ろう」
「うちは無借金だから健康経営です」
「黒字だから問題ない」
こうした発言には、次のような見方や考え方が抜け落ちています。
会社の価値を上げるために、先行投資をするという視点
自分たちがどのような資産をもっているのかという自覚
その資産を有効に活用して成果を得ようとする発想
・その施策が将来にわたって生み出すキャッシュフローの最大化に貢献するのか
・こうした景気拡大(高度経済成長期)の主要因が、「団塊の世代」と呼ばれる戦後の人口増加と、それによる労働人口の増加、消費の拡大によるものだった。
・確かに高度成長期の経営者たちは、マーケットと労働力の拡大を非常に効率的に実現しました。ですが、主には市場牽引による業績拡大を、自分たちの経営手腕によるものであると錯覚した節があります。
・日本的経営に沿って終身雇用と年功序列を同時に成立させるのはネズミ講に似た状態です。新入社員は低い賃金に耐えて滅私奉公をし、後になって給料を取り戻すという構造にあるからです。
・市場が拡大しているうちはこうした売上志向と日本的経営に沿った経営手法が有効に機能しますが、マーケットの拡大が止まった瞬間、この構造は破綻してしまいます。
・倒産件数の増加は日本では往々にして「悪」であると解釈されます。その結果、産業全体の新陳代謝が進まず、市場から退場すべきゾンビ企業が残り続けてしまいます。
・CEOの平均年齢は世界平均が53歳であるのに対し、日本は61歳と、対象国の中で飛び抜けて高い年齢
・高齢でしか役員になれないということは、経営者として在任する期間が短いことを意味します。そうすると、必然的に会社の未来を見据える時間も短くなり自身の任期期間中を大過なく全うすることに意識が向いてしまうのが人情というものです。
・「太平洋戦争の遂行」と「高度経済成長期の企業経営」は、国家総動員体制であったという点においては共通
・理念なき行動は凶器であり、行動なき理念は無価値である