<概要>
ヘッジファンドのサード・ポイントは
ソニー株を大量に取得した上で
半導体事業の分離・独立などの提案を行った。
理由は中核のゲームやエンターテインメント事業との
関連性がほとんどなく相乗効果がないからだ。
一方、ソニーは 半導体は今後の成長の中核と位置付け、
社内の他事業との相乗効果も大きいと
この提案を拒否した。
記事URL
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49892050X10C19A9TJ2000/
<相反する意見>
・サード・ポイント
「ソニー株式会社に15億ドルを投資しています。これは、現在ソニーが世界で最も過小評価されている大企業の1つだと考えているからです。ソニーのバリュエーションは、同社の事業の質の高さを反映しておらず、的を絞った資本配分とさらなる業務改善により意味のある長期的価値を生み出す機会も反映していません。」
「関連性のない多くの事業推進力を予想するという問題があるため、
投資家は一貫して評価を下げるか、あるいはこのような株式自体を避けています 」
・ソニー
「他の事業や人材との協業により、今後さらに大きな価値創出が期待できる」
「短期的に(複合企業特有の)コングロマリット・ディスカウントを解消することよりも、長期で価値を作っていくことを優先したい」
・マッコーリーキャピタル証券のアナリストのダミアン・トン
「半導体事業を分離すれば、330億-390億ドルの価値になるとするサード・ポイントの見方は「高すぎる」 」
〈なぜ、半導体とエンターテイメント事業が共存できてるのか?〉
半導体のトップはインテル、サムスン電子、SKハイニックス、クアルコム。
サムスン電子以外は半導体専業だ。
これらの企業は半導体事業で敗北すれば倒産必死だ。
偏執狂的な集中力で製品を開発し、投資し、
競合相手を徹底的に叩き潰すことで生き残ってきた。
1990年当時、トップは日本のNEC、日立製作所、東芝だった。
しかし、日本メーカは半導体事業は副業だったため、
「偏執狂」の海外勢に負けた。
つまり、「偏執狂」だけが生き残る半導体産業において
エンターテイメント事業と半導体事業が共存している
ソニーという企業が特殊に映る。
半導体事業で勝つ企業はなりふり構わず、
半導体事業のみに資金とエネルギーを集中している。
それが投資家たちに
「関連性のない多くの事業推進力を予想するという問題があるため、
投資家は一貫して評価を下げるか、あるいはこのような株式自体を避けています 」
という混乱を招いているのではないか。
<サード・ポイントの書簡>
https://www.businesswire.com/news/home/20190619005472/ja/
<参考URL>
https://jp.wsj.com/articles/SB12747339613882054137404585559124092605934
<参考文献>
東芝解体 電機メーカーが消える日
著者:大西康之 出版:講談社現代新書